暗号(仮想)通貨の将来について

Electronic Journalより抜粋

1789年7月14日の夜である。バスティーユ監獄での国王
 軍敗北の知らせをヴェルサイユで受けたフランス国王ルイ16
 世は、「これは反乱だ」と言った。その意味は、事態を収拾す
 る手段を王が持っているということである。知らせを伝えたリ
 アンクール公爵は、直ちに王の誤りを訂正し、「これは革命で
 す」と言った。その意味はこれは一国王の力を超えるものであ
 り、天体の運動を抑えられないのと同じように抑えられないと
 いうことだ。同じことが通貨革命についても言えるのである。
 この動きを押しとどめることはできない。なぜなら、仮想通貨
 はコンピュータ技術の進歩によってもたらされたものであり、
 従来の通貨より優れているからである。そして、優れているも
 のは、劣るものをいつかは駆逐するのである。
            ──野口悠紀雄著/ダイヤモンド社
     「仮想通貨革命/ビットコインは始まりにすぎない」

「2014 CoinMarkerCap」によると、2014年の時点での暗号
通貨の時価総額のうち、残高が1億ドルを超えているのは、次の
3つだけです。
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    第1位:ビットコイン ・・ 63.0 億ドル
    第2位:  リップル ・・ 10.0 億ドル
    第3位:ライトコイン ・・  3.7 億ドル
           ──野口悠紀雄著の前掲書より
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 「ライトコイン」から説明します。
 ライトコインは、多くのオルタコインがそうであるように中本
哲史氏のソースコードに基づいています。ライトコインの特徴は
その名の通り「軽さ」にあります。『ヤバイお金/ビットコイン
から始まる真のIT革命』の著者である高城泰氏は、ライトコイ
ンはビットコインに比べて3つの「軽さ」があるとしています。
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  1.取引の認証にかかる時間が短い ──→第1の軽さ
  2.コイン総発行量が著しく大きい ──→第2の軽さ
  3.POWのアルゴリズムが異なる ──→第3の軽さ
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 第1の軽さは、「取引の認証にかかる時間が短い」ことです。
 ビットコインは取引の認証に約10分間かかりますが、ライ
トコインは約3分程度と早くなっています。
 第2の軽さは、「コイン総発行量が著しく大きい」ことです。
 ビットコインの総発行量は2100万枚に定められていますが
ライトコインは8400万枚であり、4倍の発行量になるので、
理論的には1コイン当たりの価値もそれだけ軽くなります。
 第3の軽さは、「POWのアルゴリズムが異なる」ことです。
 ビットコイン技術の中心である「プルーフ・オブ・ワーク」の
アルゴリズムはSHA─256ですが、ライトコインはそのアル
ゴリムを使わず、「スクリプト」を使っています。スクリプト
マイニングといわれていますが、詳細は省略します。
 このように3つの「軽さ」があるだけに、価格もビットコイン
と大きな差がついています。2014年の現時点で、1ビットコ
インが5万円台であるのに対して、1ライトコインは1000円
台に過ぎないのです。
 野口悠紀雄氏は、ライトコインについて次のように述べており
ビットコインと必ずしも競合するものではないとしています。
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 ライトコインビットコインの変形であり、ビットコイン・プ
 ロトコルに基づいて運営されている。送金確認が平均2・5分
 とビットコインより速く、一般のコンピュータを用いてマイニ
 ングできる。総発行数もビットコインの4倍(8400万枚)
 が予定されている。これらは必ずしも競合するわけではない。
 互いに交換できる場合が多いので、補完的な役割を果たすこと
 もある。結局は、どれだけの店舗が受け入れるかで価値が決ま
 るだろう。         ──野口悠紀雄著の前掲書より
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 これでわかるように、ライトコインビットコインのあくまで
亜種であり、将来的にビットコインを抜く存在ではないというこ
とです。高城泰氏は、ライトコインは「永遠の二番手」であると
いっています。それでは、ビットコインを追う本命の暗号通貨は
何でしょうか。明日のEJで考えることにします。
       ──── [ビットコインについて考える/44]