HyperCard以後


19日にBento4 for iPadという製品が登場しました。BentoシリーズはFileMaker社のデーターベースアプリですが、Filemaker Proという高度なデーターベースと違い、コンピューターの初心者に身近な25種類のフォームが用意されていて、他にも無料のテンプレートコーナーから役立ちそうなものがすぐに手に入るサービスも提供されている。

このBentoを見て思い出すのが同系統のカード型データーベースHyperCardです。1987年に登場した製品ですが、図表のホームページにあるように、身の回りの身近なスタック(カードの集合)は最初から用意され、データーを入力するだけですぐ使えた。正確にはアドビのFlashに近いプログラム言語も搭載した多様なアプリながら、専門的で敷居の高かったデーターベース・ソフトを誰もが簡単に日曜大工的に制作できるレベルに招待してくれたのです。


当時HyperCardプログラマーアトキンソン氏が、20世紀のビジネス現場で一番時間が浪費されていることは「転記作業」と「もの(記録や記憶)探し」で8割くらい占めていると述べていて、それを解決するのにHyperCardを開発した!と紹介していました。日本ではいまだに伝票やFAX、出欠案内などの転記作業が残ったままです。USBメモリなども一種の「転記」と考えてよく、紛失したり盗難にあったりと、昔ながらのトラブルが起きています。

コンピューターは本来、こういった記憶や記録の紛失や埋没、繰り返しのデーター移行(転記)作業などを効率良くするツールなのに、お作法や習い事ずきな日本では、「華道」や「茶道」みたいな「電算道」にしてしまい、こうすべきとかこう使うべき的な国の指導に翻弄された企業や若い人がうまれ、コンピューターの使い方が下手くそな国になってしまった。

きょうのラジオで、公的に近いデーター・センターが顧客のデーターを消失してしまったと報じている。クラウド時代のいま、自前のバックアプも当然すべき。2,3重のセキュリティを考えて大事なデーターを保持することが大事だと思います。紙の時代も同じで簡単にバックアップできない上、保管や持ち運びも大変でした。

新たなBentoは母艦のMacがなくても単体だけでフォームの構築もできる。色々なアプリでデーターを保持するのもいいですが、先々考えバックアップも含め、出来るだけひとまとめに流暢に使い続けれるものが欲しい。Bentoは敷居も低く誰もが馴染めるデータベース入門にうってつけの製品だと思います。

Filemakerとの付き合いは1985年以来継続してます。ExcelやWordは消え去って久しい。